日本銀行Photo:Bloomberg/gettyimages

日本の物価上昇率が、41年ぶりの高水準で推移している。中でも生活必需品は全体以上に顕著だが、日本銀行は物価見通しが低いことを理由に、長期金利を低く抑えるイールドカーブ・コントロール(YCC)政策を継続している。日本経済の将来を考えると、その弊害はあまりにも大き過ぎる。(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)

日本のインフレ率は41年ぶりの高水準
購入頻度が高い品目で顕著

 コロナ危機以前の日本の外食価格は、米国と異なり、安定した状態が長く続いていた。しかし、ここにきて状況が激的に変化している。

 下のグラフは、2021年1月を100として、2022年12月までの日米の外食価格の水準の変化を、両国の消費者物価指数を基に表したものだ。

 最近の日本の外食価格は、米国に負けず劣らずの急激な角度で上昇している。その主因は、輸入食材価格や光熱費の高騰だ。日銀の超金融緩和策が招いた昨年来の超円安が、この動きを加速させている。

 円安は広く日本の物価に影響を及ぼしている。12月のコアCPI(生鮮食品を除く消費者物価指数)前年比は、1981年12月以来41年ぶりの4%上昇だ。政府・日銀が掲げるインフレ目標2%をはるかに上回ってしまった。現状は、日銀法が日銀に求めている「物価の安定」とはかけ離れた状態である。

「実際のインフレはもっと激しいのではないか?」といら立っている人も多いだろう。消費者の購入頻度別に品目を分類したインフレ率を見てみると、12月は「1カ月に1回程度以上購入」する品目は7.8%の上昇、「1カ月に1回程度購入」する品目は11%も上昇した。食品、光熱、ガソリンなど、所得に占める購入頻度が高い生活必需品への支出の比率が高い中低所得層の家計にとっては非常に厳しい状況だ。人々の生活実感はコアCPIよりもこれに近いだろう。

 実際、日銀が最近発表したアンケートを見れば、今の生活にゆとりがないことがはっきりと分かる。