100円ショップの国内大手ダイソーがトレーディングカードゲーム「蟲神器(むしじんぎ)」を発売。その完成度の高さから、品薄が相次いでいる。競合ひしめくトレーディングカード市場になぜ参入したのか。その理由と開発秘話を、ダイソーの子会社で、トレーディングカードの開発を担当する大創出版に聞いた。(清談社 沼澤典史)
昨秋に発売するや
予想外の大反響
一般社団法人日本玩具協会が発表した統計によれば、2021年の国内トレーディングカードの市場規模は1782億円。2001年度からの集計で、過去最高を記録した。また、前年比145.6%の伸び率であり、玩具市場の中で最も伸びた分野でもある。
この巨大市場を牽引(けんいん)するのは「ポケモンカードゲーム」「遊戯王OCG」「デュエル・マスターズTCG」の3強だが、ここに現れたのがダイソーから発売されたトレーディングカードゲーム(以下、TCG)「蟲神器」である。
蟲神器は「虫」をテーマにしたカードで、虫の種類によってカードの強さや特性が変わり、他にも強化カードや術カードを駆使して相手と戦うもの。現在は、デッキ(対戦に必要なカードの山札)が2つ入って、すぐに2人で遊べる「スターターセット」と、ホログラム仕様のカードが必ず1枚入っている5枚入りの「ブースターパック」の2種類が発売中だ。もちろん、いずれも価格は100円(税抜き)。
開発を担当しているのは、ダイソーの子会社としてカードゲームや書籍などの商品開発を行っている大創出版。同社取締役の西田大氏は、蟲神器の反響をこう話す。
「蟲神器は2022年11月に発売を開始しましたが、発売を発表した同月初旬にはTwitterでのコメント数が2000件を超え、その後1カ月で約1万5000件以上まで増えました。ただ、各地への出荷が遅れ、依然として品薄が続いてしまっていることは、本当に申し訳なく思っています」