65歳以降の月間支出(主に生活費)は、現時点では分からないので統計データをもとに考えていきます。

 その頃には、娘さん2人は独立して家を出ていると思われるので、単身世帯のデータを参照しました。高齢の無職・単身世帯の月間支出の平均値(健康保険料等を除く)は、生活費が約11万3500円、住居費が約1万3000円、合計が約12万6500円です。

 これに対し、Xさんは現在、収入も支出も多い生活をされています。筆者がこれまで家計相談に乗ってきた経験上、生活スタイルを急激に変え、平均値まで支出を減額するのはかなり厳しいと判断されます。

 そこで今回は、生活費は上記の金額よりも少し高い15万円とします。年間支出は180万円です。住居費は前述の通り、住宅ローン、修繕積立金、管理費の合計額である月額15万8000円、年間189万6000円です。

 これらを合計した369万6000円が、Xさんが65歳から住宅ローンを完済する79歳までの年間支出です。この頃の年間収入は先ほど試算した通り250万円なので、差し引きした年間赤字額は119万6000円です。

 この赤字は、住宅ローンを払い終わるまでの15年間にわたって続きます。

 そうすると、119万6000円×15年間=1794万円が、Xさんが65歳時点での金融資産額(3426万6000円)から取り崩されます。その結果、79歳時点での金融資産額は1632万6000円です。

家計収支が「トントン」であれば
ギリギリ老後も安心

 続いて、住宅ローンを払い終わった80歳以降の家計収支を試算します。ドル建ての年金保険を受け取れるのは、65歳の時を含めて20年間ということなので、84歳の時点で終了するはずです。

 80歳~84歳の年間収入は250万円と変わりませんが、住宅ローンの返済が終了しているので、65歳以降の年間支出(369万6000円)から住宅ローンの支出(年間144万円)を差し引いた225万6000円とします。修繕積立金と管理費は、その後も発生すると思われるので、以降も年間支出に含みます。

 年間収入が250万円、年間支出が225万6000円ですから、80歳~84歳の5年間は毎年24万4000円の黒字です。累計では122万円の黒字なので、この金額を貯蓄に回すとしましょう。

 79歳時点の金融資産額1632万6000円に122万円を加えると、84歳時点の金融資産額は1754万6000円です。

 85歳以降はドル建て年金保険の収入がなくなるため、公的年金のみの年間132万円(額面)に減ります。手取り額は120万円とします。

 年間支出は225万6000円なので、120万円を引いた年間赤字額は105万6000円です。84歳時点の金融資産額である1754万6000円から、毎年この金額を取り崩していくと、約16.6年後(Xさんが100歳を過ぎる頃)まで持ちこたえられる計算になります。

 人生100年時代にギリギリ対応できるので、大人になった娘さんから支援を受けられる可能性を考慮すると、それなりに安心だといえるのではないでしょうか。

 ただ繰り返しになりますが、Xさんは多額の住宅ローンを49歳時点で組み、79歳まで残る以上、残念ながら仕事を65歳までに辞めるのは厳しいと言わざるを得ません。