光熱・水道に関しては、2004年に94.1、2008年に104.5と上昇した。2008年は、米国のサブプライム危機に伴う原油価格高騰があった年だ。その後、2010年には100まで下落するも、「アラブの春」の2011年には103.3、不安定な中東情勢が続く2012年には107.3と上昇している。原油価格高騰は、2013年2月現在も続いている。どう考えても「なくてはならない」これらの物品で、消費者物価下落どころか上昇が見られていることは、無視されてはならない。

 なお、住居・保険医療については、大きな変動はないと見てよいであろう。そもそも生活保護制度では、住居費は「住宅扶助」、医療費は「医療扶助」として給付される。今回の削減案の対象となっている「生活扶助」とは枠が異なるため、今すぐに影響が及ぶわけではない。しかし、住宅扶助・医療扶助に関しても、削減が取り沙汰されていることは述べておきたい。

 結論づけると、低所得層へのデフレの恩恵は、「ほとんどない」といって良いであろう。生きるために必要な物品に関しては、物価下落どころか、品目によっては物価上昇となっているのだ。

デフレの恩恵を受けたのは、
いったいどこの誰なのか?

 確かに存在しているはずのデフレは、誰にとっての消費者物価を下落させたのだろうか? 前掲の表から、「教養娯楽用耐久財のうち下落幅が大きい品目」の2005年以後の消費者物価推移をグラフにしてみた。2005年以後を選択したのは、全物品が揃っているのは2005年以後のみだったからである。グラフの縦軸は、先ほどとは異なり、100刻みである。

 価格の激しい下落は、一目瞭然である。この価格下落が原因だったのか結果だったのかはともかく、日本の製造業は激しい不振に陥り、そのことがさらに消費を冷え込ませ、いわゆる「デフレ・スパイラル」を進行させる一因ともなった。

 さて、この価格下落の恩恵を受けたのは、どのような人なのだろうか? 少なくとも、テレビや動画レコーダー、パソコンやカメラを当たり前のこととして所有できる生活レベルの人であろう。必要性の大きさには人による濃淡があって当然だし、業種によっては「これが必需品」ということもありうる。しかし、「住まいにはテレビ・動画レコーダーがなくては、パソコンとカメラを持っていなくては」と当然のように言えるためには、単身者でも、可処分年間所得が250万円以上は必要だろう。少なくとも、生活保護を具体的な選択肢として検討せざるを得ない生活レベルの人々にとっては、およそ縁のない話だ。