日本の人口は今、何人くらいか、君は知っているかな。2010年の国勢調査を見てみるとだいたい1億2806万人。でも、この人口はこれからどんどん減ってしまうんだって。
国立社会保障・人口問題研究所では、将来の人口について3つの見方で予測を立てている。このうち、「中位推計」――出生や死亡の見込みが中程度と仮定した場合の予測――を見てみると、2030年には1億1522万人、さらに2060年には8674万人となっている。これは、第二次世界大戦直後の人口とほぼ同じ規模だ。
どんどん人口が減り、縮んでいく日本の社会。いったい私たちの行く手には何が待ち受けているんだろう?
――この連載では、高齢になった未来の私たちのため、そしてこれからの時代を担うことになる子どもたちのために、日本の将来をいろいろな角度から考察していきます。子どものいる読者の方もそうでない方も、ぜひ一緒に考えてみてください。
2035年には倍増する!
「75歳以上のひとり親と子」世帯
「高齢のひとり親と中高年の息子、娘」。2035年、日本の一般家庭像は大きく様変わりしているかもしれない。
国立社会保障・人口問題研究所の調べによれば、2010~35年、世帯主が75歳以上の世帯で、最も増加率が高いのは「ひとり親と子」世帯。131万世帯と、およそ2倍になる見込みだよ。「単独世帯」の増加スピードを抜く、かなりの勢いだ。
かたや、1985年頃まで40%以上を占めていた「夫婦と子世帯」はじりじり減り続け、2035年には、なんと4世帯に1世帯以下となる。
結婚せず、親と暮らす大人たちは、なぜ増えるんだろうか?
30代、40代で、結婚せずに実家暮らしを続けている人は、今やちっともめずらしくない時代だ。
「パラサイト・シングル」という言葉が一躍、流行語となったのは1997年頃のこと。学校を卒業した後も親と同居し、ゆとりのある生活を楽しむ未婚者を指したものだよ。名付け親は中央大学教授 山田昌弘さん。
たしかに2000年に行われた、野村総合研究所「生活者1万人アンケート調査」を見ると、親と暮らすシングルは、「名の通ったブランドやメーカーの商品であればそのぶん多少値段が高くてもよい」(19%)「流行にはこだわるほうである」(約18%)などが目立って高い。独立して暮らすシングル(それぞれ10%、約11%)のほぼ倍だ。