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岸田政権が打ち出した「異次元の少子化対策」について、世論はおおむね歓迎しているようだ。しかし実は、この政策は逆に少子化が進めかねない巨大なリスクを抱えている。その根拠について、「子育て支援先進国」とされるフィンランドの失敗と、日本のデータに基づいて解説する。(イトモス研究所所長 小倉健一)

「異次元の少子化対策」への賛意の中に
本質からずれた論点が散見される

 岸田文雄首相が、年頭に「異次元の少子化対策」を打ち出したことを受け、政府内では少子化対策の積み増しが進められている。

 具体的には、児童手当の所得制限撤廃と多子世帯への加算にはじまり、保育人材の処遇改善、子育て家庭の相談や一時預かりのサービス拡充。さらには医療費の高校3年生までの無償化、給付型奨学金の対象を年収600万円まで拡大、育児休業給付の対象外の人への給付など、豊富な内容になっている。

 この「異次元の少子化対策」について、世論はおおむね歓迎しているようだ。しかし、少子化対策とは出生率を上げる対策のはずだ。これまで人類、特に先進国が直面してきた少子化を止める手立てについて、子育て世代にいくら手厚い支援をしたところで、少子化を止めるどころか、進んでしまっている現実がある。

 そのメカニズムは後段で説明をするとして、まずは「異次元の少子化対策」に賛成する根拠として挙げられているのに、実は本質からずれてしまっている議論の整理から行っていきたい。