「いつもご来店ありがとうございます。それにもかかわらず、大変申し上げにくいことですが…。実は、前回、他のお客さまからご意見をいただいてしまいまして。私どもが先に気をつけていればよかったのですが、店内が込み合っている際は、少し声のトーンを落としていただけますと幸いです。ご協力いただいてもよろしいでしょうか?」
このとき、ポイントは三つあります。
一つ目は、まず、ご利用に対する「感謝の言葉」を伝えること。
二つ目は、“大変申し上げにくいことですが…”というような「クッション言葉」を入れること。この時、言いづらそうな表情を見せることも大切です。
そして三つ目は「ご協力依頼」です。この言葉を入れることで、再度目に余る言動があった時に「お客さま、先ほどもお願いしました通り…」と言いやすくなりますよね。ポイントは「ご協力をお願いします」ではなく、「ご協力いただいてもよろしいでしょうか?」というように、まずは「YES」「NO」を選べる聞き方(依頼形)をすることです。依頼形のほうが「店側の命令ではなく、お客さまの意思で選んだ」ということなので、角が立ちにくいのです。
一般的な方なら、この時点で歓迎されていないことに気づくはずですが、もし、あちらから謝罪の言葉や反省の態度、こちらの依頼に対して協力的な様子などがないようであれば、徐々に段階を引き上げて「協力依頼」から「出入り禁止」とすることも考える必要があります。
なぜならば、このケースの一番の目的は「他のお客さまの快適な空間を乱さないでほしい。それができないなら来店をお断りしたい」だからです。
その後は、このお客さまが店や周りのお客さまに迷惑をかけたという話を聞かなくなり、安心しました。このようなことはとても言いづらいことではありますが、角を立てない工夫をしながらも、言うべきことは毅然と伝えることも大切です。