働きがいのある企業
「社員クチコミ」の気になる中身

 では、今回ランクインした企業は、元社員・社員からどのように評価されているのだろうか。上位企業のクチコミから「働きがい」を探ってみよう(クチコミは原文ママ)。

【1位/ボストン・コンサルティング・グループの社員クチコミ】

「社会人としての基礎的なスキルのみならず、多くの関係者をリードして問題解決を進めていく力が得られ、今後のキャリア開発の基盤を養成できる環境だと感じる」(コンサルタント/男性)

【2位/グーグルの社員クチコミ】

「社内外の様々なプロジェクトに関わることができ、継続的にチャレンジができ続ける環境なので、働きがいは非常にある。また、接しているクライアントとの関わるソリューションの幅も非常に広く、長く働いていても飽きなく、かつ、中長期的な施策も多いためやりがいがある」(営業/女性)

【3位/中外製薬の社員クチコミ】

「若手でも仕事を任せてもらえる風土があり、失敗にも寛容な企業文化だと感じる。むしろ、様々なことに挑戦して、高い成果を上げている人が正当に評価されていると思う。中途入社でも経営幹部としてすぐに昇格されるケースを見てきた」(コーポレート部門/男性)

「働きがい」の意識は
変わりつつある

 こうして見ると、上位企業に共通するのは、社員が新しい仕事にチャレンジし、自身のキャリアが日々向上していくことを実感できる風土があることと言える。もちろん、給与や福利厚生が良いことも社員にとっては魅力だろうが、それだけで「働きがい」は決まらない。

 社員にスキルアップを促す実力主義が根付いている外資系企業が、上位にランクインしたのも頷ける。特にコンサル業界は、クライアントに対するサポート業務の過程で、企業経営に関する深い問題解決能力を身に付けられる点が、優秀な学生に注目されているのだろう。

 日本企業の中にも、社員のモチベーションアップにつながる「働き方改革」に力を入れる企業が増えている。「人財重視」を謳い自律支援型の社員マネジメントが評価されている中外製薬は、ここ数年で「働きがい」の順位が急上昇した。リクルートも21年に関連7社を統合する組織再編を行い、社員約2万人を対象に、新しい働き方を支えるための人事制度を改定して注目を集めた。

 現在、若者の間で共通認識になりつつあるのが、「最初の就職はファーストキャリア」というものだ。不確実性の多い世の中で、ずっと1つの会社に頼るのではなく、自分自身でキャリア形成を考え、自らの力で生き抜いていく必要がある、という思考が根底にある。ここで紹介した社員のクチコミからも、そんな意識が伝わってくる。

 自社の評価において、社員に成長環境を用意できるか否かという「ソフト面」が、給料や福利厚生などの「ハード面」よりも重視される時代が訪れつつあることを、企業関係者は意識すべきだろう。また就活生やその親にとっても、そうした視点で「働きがいランキング」を見ると、新しい発見があるかもしれない。

(まとめ/ダイヤモンド社 ヴァーティカルメディア編集部 副編集長 小尾拓也 *本記事はOpenWork[オープンワーク]からの提供データを基に制作しています)

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