市場は長らく続けてきた米連邦準備制度理事会(FRB)とのチキンレースをついに断念したようだ。インフレの鈍化を受けてFRBが年内に利下げを始めるとみた投資家の買いによって、1月の相場は大きく上昇した。政策転換について考えるのは時期尚早というFRB幹部らの声は届かなかった。2月3日に1月の米雇用統計が発表されると投資家の楽観ムードに陰りが見え始め、14日発表のインフレ統計が高止まりしたことでトレーダーは再びぐらついた。足元では市場の長期見通しにFRBの最新予測がようやく反映され始めている。ファクトセットによると、デリバティブ(金融派生商品)市場は現在、フェデラルファンド金利(FF金利)が8月に5.25%程度となり、その水準でピークアウトすると予想している。FRBが年内に数回利下げするとの期待は薄れ、FF金利の年末時点の水準は5.1%超と想定されている。