ポイントをためて節約の足しにしようと、かえって不要な消費を繰り返してしまう「ポイント貧乏」。得したつもりが逆に無駄遣いを生んでしまう現象だが、最近新たな「○○貧乏」が発生している。それが「プレミアム付き商品券貧乏」である。消費喚起策として次々発行される「プレミアム付き商品券」を買った人は多いはず。しかし、買い方を誤ると、これもまた無駄遣いをあおってしまいかねない。消費喚起の名目で、この先もさまざまな自治体商品券や地域クーポンなどが発売されるだろう。だが、利用者はその落とし穴にはまらないよう注意したい。(消費経済ジャーナリスト 松崎のり子)
各地にあふれた「クーポン」使い切れるのか
自治体が「プレミアム付き商品券」を発行する目的は、その自治体の事業者や特定の業種の支援や、地域における個人消費を刺激して経済を活性化することだ。2022年度は東京をはじめ多くの自治体で発売され、プレミアム(上乗せ)率は、おおむね20~30%が多い。
だが、これだけではない。東京ではコロナ感染拡大で中止していた25%上乗せの「Go To Eat キャンペーン Tokyo」を22年10月26日から再開した(既に販売終了)。さらに、同じようなタイミングで全国旅行支援が開始され、平日3000円、休日1000円の地域クーポンが配布されることになった。同年度にダブルどころかトリプルの商品券・クーポン券祭りとなったのだ。
筆者の地元では、30%上乗せの自治体プレミアム商品券、25%上乗せの「Go To Eat」、旅行支援の地域クーポンが混在し、「使えます」のステッカーがべたべた貼られていた。
問題は、いずれも使用期限があることだ。特に、「Go To Eat」は10月26日から23年1月25日までと、実質3カ月しか使えなかった。しかもわが地元では自治体プレミアム商品券の方が、「Go To Eat」より先行していたためか、「Go To Eat対象」となっている飲食店の数は多くなかった。その状況を見て、本来なら2万円分買えるところを1万円分にとどめたのだが、結果的にそれでよかった。
なぜなら、SNSでは「Go To Eatを消化しに行く」「まだチケットが残っている」「2万円は多すぎたかも」という声を見聞きしたからだ。気持ちはわかる。先払いで買ってしまっただけに、使い切らないとお金を捨てることになるからだ。しかし、楽しいはずの外食が、使い切るための苦行になるというのもおかしな話だ。節約になると思えばこそ万単位の金額を払ったのに、使える店をあれこれ探し、使い切るためにいつも以上に注文を重ね、会計で中途半端な端数が出てがっかり…ではあまりに悲しい。