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厳しいVUCA時代では、過去の成功体験を引用できない仕事が舞い込むことが多々ある。仕事で成果を生み出すために「目的」を明確化させることがなぜ重要なのか。本稿は、望月安迪著『戦略コンサルタントが大事にしている 目的ドリブンの思考法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。
いま、僕らが生きる時代とは
どんな時代なのか?
僕らが生きる時代を捉えるための便利な4文字のアルファベットがある。“VUCA”(ブーカ)だ。それぞれのアルファベットは次の意味を表している。
●Volatile…「変動的な」時代
●Uncertain…「不確実な」時代
●Complex…「複雑な」時代
●Ambiguous…「曖昧な」時代
いま僕らが生きているのはVUCAの時代である。デジタル化による既存ビジネスの破壊、SNSが形づくる新たなコミュニティの誕生、エスカレートする大国間の貿易摩擦、未知の感染症の脅威など、10年前にこれらを予見できた人が果たしてどれだけいただろう。そんな流転する時代の真っただ中に、僕らは生きている。
では、VUCA時代はそこで生きる僕らにどのような影響を与えただろうか。それは端的にいって、過去を参照して将来を考える考え方、すなわち「バックミラー思考」を無効にしたということだ。まるで車のバックミラーを見るように過去を見返しても、VUCA時代ではその延長線上に未来はない。
「バックミラー思考」の限界。VUCA時代においては、バックミラーを見るように過去を参照しても未来を描くことは難しい。 拡大画像表示
戦後の高度経済成長期を思い出してみよう。そこでは、「去年と同じ製品を、より効率的に、大量に生産すればいい」「それには、これまでの改善をもっと積み上げればいい」という頭の使い方で十分通用した。それどころか、その考え方が当時は最も有効でさえあった。
しかし、時代は変わった。従来の取り組みが事業環境の変化で瞬く間に陳腐化し、過去からの懸命なる努力の継続が事業を破綻に導く悪手にさえなりかねない。そんなシビアな時代に僕らは生きている。
未来起点で目的を捉える
「バックキャスト思考」
では、先行きの見えないこの時代で僕らがとるべき考え方とは何か?アメリカ合衆国の新時代の幕を開いた大統領、エイブラハム・リンカーンは次の言葉を遺している。
The best way to predict the future is to create it.
(未来を予測する最良の方法は、それを創り出すことにある)
これが、見通しのきかない時代を生き抜く考え方のコンセプトだ。
過去の延長線上に未来を見るのではなく、望む未来を最初に描くこと。その未来像から現在に立ち戻り、その実現に必要な手段を見つけ出すこと。これは言いかえれば、過去起点の「バックミラー思考」を抜け出し、未来起点の「バックキャスト思考」にシフトするということだ。時代は、この思考の転換を僕らに要請している。
不確実性の時代に必要な「バックキャスト思考」。創出したい未来を実現する方法を逆算する「バックキャスト思考」が、VUCA時代には必要となってくる。 拡大画像表示
さて、ここで最初の問いに戻ろう。
いま、なぜ目的について考えるのか?
それは、未来起点で物事を考えることが必須の時代にあって、目的は「未来像そのもの」だからだ。目指す先が定まっていればこそ、「そこまでどうやって行こうか」「実現には何が必要か」という逆算の創意がはたらき出す。
逆に、果たすべき目的が何か分かっていなかったとしたら、どうか。
目的が分からないと、目指す先が見えないまま前に進むことを強いられる。そのような状況にあるとき、人は「これまでどう進んできたか」と過去を参照する「バックミラー思考」に頼らざるを得なくなる。だが、その考え方はVUCA時代ではもはや無効となった。







