コロナ禍の収束を待たずに、今度は資源・資材の高騰や円安が企業を揺さぶっている。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、2022年10〜12月度の旅行編だ。
3社そろって3カ月連続
前年同月比プラスだが…
旅行の主要3社が発表した2022年10〜12月度の月次業績データは、以下の結果となった。
◯HIS(エイチ・アイ・エス)の旅行総取扱高
10月度:前年同月比405.2%(305.2%増)
11月度:同357.2%(257.2%増)
12月度:同349.8%(249.8%増)
◯近畿日本ツーリスト(KNT-CTホールディングス〈HD〉)の取扱額実績
10月度:前年同月比224.7%(124.7%増)
11月度:同162.7%(62.7%増)
12月度:同178.3%(78.3%増)
◯阪急交通社(阪急阪神ホールディングス〈HD〉)の総取扱高
10月度:前年同月比214.6%(114.6%増)
11月度:同147.3%(47.3%増)
12月度:同130.3%(30.3%増)
22年10~12月の月次業績は3社ともに前年実績を大幅に上回り、特に10月は3社そろって前年同月比で3桁のプラスとなった。近畿日本ツーリストと阪急交通社は取扱高が前年同月の2倍以上、HISに至っては4倍以上になるという平時ではあり得ない増加率だ。
新型コロナウイルス感染拡大による行動制限の影響で、旅行は壊滅的な打撃を受けた業界だ。だが昨年夏以降にコロナ禍での行動制限がなくなったことや全国旅行支援の実施、水際対策の緩和など、旅行業界が落ち込み過ぎた需要を取り戻すためのポジティブな材料が出てきている。
とはいえ、前年同月比の実績との比較で大幅なプラスであっても、コロナ前の水準には到底及ばず、回復にはまだまだ程遠い厳しい現実が見えてきた。
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