コロナ禍の収束を待たずに、今度は資源・資材の高騰や円安急進が企業を揺さぶっている。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、2022年10〜12月度の航空編だ。
ANA・JAL、インバウンド復活でも復活は程遠い
国際線の「惨状」とは?
航空の主要2社が発表した2022年10〜12月度の月次業績データは、以下の結果となった。
◯ANA国際線(ANAホールディングス〈HD〉)の旅客人数
10月度:前年同月比585.0%(485.0%増)
11月度:同561.7%(461.7%増)
12月度:同460.3%(360.3%増)
◯ANA国内線(ANAHD)の旅客人数
10月度:前年同月比190.5%(90.5%増)
11月度:同158.5%(58.5%増)
12月度:同140.3%(40.3%増)
◯JAL国際線(日本航空)の旅客人数
10月度:前年同月比586.9%(486.9%増)
11月度:同543.6%(443.6%増)
12月度:同422.7%(322.7%増)
◯JAL国内線(日本航空)の旅客人数
10月度:前年同月比181.0%(81.0%増)
11月度:同145.8%(45.8%増)
12月度:同126.6%(26.6%増)
12月において、ANA・JAL2社の国際線の旅客人数は前年実績を大幅に超えた。ANAは前年同月比460.3%(360.3%増)と、前年実績の4.6倍以上。JALも同422.7%(322.7%増)と、前年実績のほぼ4.2倍に増加した。
しかし、これは新型コロナウイルス禍による落ち込みからの反動増の影響が大きく、航空業界を取り巻く環境は依然として厳しい。次ページでは、2社の惨状が今も続いていることが分かる実態値を確認しよう。