大規模修繕工事に加わる新たな工程
アスベストの事前調査とは?
アスベストの事前調査は、基本的には以下のような流れとなる。
書面調査
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現地での目視調査
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試料採取
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分析調査
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調査報告書の作成
マンションの大規模修繕工事においては、工事請負会社(施工業者)がこの事前調査も行うことになる。前述のように、22年4月から施工業者が事前調査の結果報告を義務付けられているからだ。
事前調査を行う際には、大規模修繕工事の工事項目や工事範囲を判断し、調査分析用の試料を採取して、調査機関に持ち込み、アスベストが検出されるか分析してもらうのだが、ここでポイントとなるのが、工事請負会社が決まらなければ、調査箇所や採取する試料の個数などが確定できず、事前調査費用も算出できないという点だ。
また、これまでの大規模修繕工事では、工事請負会社と工事請負契約を締結してから1~2カ月で着工できていたものが、事前調査の実施によって、着工までの準備期間が長くなるという影響も出てくる。
管理組合が独自に試料を採取し、分析調査を行うことも可能だが、専門性が高いことでもあり、現実的ではないといえる(23年10月1日以降は、有資格者によるアスベスト調査が必須となる)。
仮に、調査によってアスベストが検出された場合、該当箇所の作業に際しては、専用の防じんマスクや防護服の着用、飛散防止対策がなされた専用の工具の使用を徹底し、飛散防止の養生を施して、場合によっては養生内の空気圧を調整しながら工事を行う。また、専用のゴミ袋やコンテナを使用し、指定された処分場に持ち込むなど、残材処分にも気を配る必要がある。