糖尿病がある人の3人に1人は、糖尿病であることを恥ずかしく感じた経験があるというデータが報告された。神戸市立看護大学看護学部の稲垣聡氏、糖尿病内科まつだクリニックの松田友和氏らが行った横断研究の結果であり、詳細は「BMJ Open Diabetes Research & Care」に12月13日掲載された。恥ずかしさを感じた経験のある人は精神的苦痛を強く感じており、幸福感が低いことも明らかになったという。
近年、糖尿病に関するスティグマが、糖尿病のある人の生活の質(QOL)を低下させることへの関心が高まっている。スティグマとは「汚名」や「不名誉」といった意味。誤った情報に基づくスティグマが存在すると、対象者が社会に受け入れられにくい状況が生じる。糖尿病のある人の場合、スティグマのために糖尿病であることを恥と捉え、病気を隠そうとしたり、食事の際に周囲の人に合わせて健康的でない食べ物を食べたり、人目を避けてインスリン注射や血糖測定をするといった行動につながる。
スティグマは、社会の認識が改善してそれが解消されることが最善であり、そのための働きかけも関係団体が中心となって行われている。ただし、糖尿病を持つ人が感じている可能性のある“恥”をテーマとした研究は、これまでほとんど行われていない。稲垣氏らはこのような状況を背景として、糖尿病であることを恥ずかしく感じたことのある人の割合やその関連因子を明らかにするため、以下の研究を行った。