11月14日の世界糖尿病デーには世界各地の都市でブルーのシンボルカラーが掲げられた。日本でも東京では都庁が、札幌は時計台、大阪では大阪城、秋田はなまはげにブルーの光が灯った。この糖尿病デーの少し前の8日、新聞紙上に「『糖尿病』の名称変更へ」という見出しが躍った。記事は「日本糖尿病協会は前日に開いたセミナーで患者の大半が『糖尿病』という名称に不快感を抱いていることなどを踏まえて、今後1、2年のうちに新たな病名を提案したい考えだ」と伝えている。
同協会が患者を対象にしたインターネットによるアンケート調査で、回答者1087人の9割が病名に抵抗感・不快感を持ち、変更を希望する人が8割に上り、「尿」という言葉が負のイメージであることへの懸念が多かった、と続けている。
ある私立大学の名誉教授は「かつて糖尿病だった先輩教授が『何よりの悩みは糖尿病という名称だ。この病名を口にするのは圧倒的に食卓が多い。どう考えても尿という言葉は食卓の話題には相応しくない。何とかならないものか』と月刊誌に書いていました。患者にとっては気になる病名なのかもしれませんねえ」と語る。
実際、痴呆症を認知症に、精神分裂病を統合失調症に変え、成人病を生活習慣病に変更した例もある。糖尿病の名称変更話は今までもときどき、話題になる古くて新しい問題。果たして名称変更へ、という新聞報道は本当なのか──。