伊藤羊一が説く「新しい上司と部下の関係」、リーダーに必須のマインドとは写真はイメージです Photo:PIXTA

「世界は、確実にフラットになっていく」。そう断言する伊藤羊一氏は、チームづくりでも「フラット」になることが重要だという。フラットなチームの中でリーダーが担う役割とは何なのか。これからの時代のリーダーが持つべき価値観について、次世代リーダー育成を行うZアカデミア学長、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部学部長の伊藤羊一氏の著書『「僕たちのチーム」のつくりかた メンバーの強みを活かしきるリーダーシップ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)から一部を抜粋・編集して紹介する。

たった一人で始めるから
人がついてきてくれる

 TEDトークで、デレク・シヴァーズの「社会運動はどうやって起こすか」という動画を見たことがあるだろうか。

 これはフォロワーが生まれることで、たった一人の運動が社会運動になっていく話で、フォロワーの大切さを伝えている動画だが、そもそも、誰か一人が踊り出さなければ、このムーブメントは起こらない。

 だから、「革命はいつも、たった一人から始まる」のではあるが、その後は、フォロワーと一緒に、みんなで踏み出す、ということだ。

 一人で踏み出すと、出せる力は一人分。そして一人で踏み出すのは怖い(この動画ではひたすら踊っているが、実際にはそれは難しいことだ)。

 でも、みんなで踏み出せば、まずは踏み出せる。だからチームでやる。チームみんなで踏み出すのだ。

踏み出すより
継続するのはもっと大変

 踏み出すところには関門がある。そこをまずはチームとして乗り越えていきたい。そしてそれを乗り越えたら、チームはひとつ確実に成長する。

 ただ、それではまだ「始まった」だけだ。何も成果を生み出しているわけではない。成果を生むために踏み出すのだから、踏み出したら、成果を生むために行動し続けることになる。

 王貞治さんが以前、監督時代にこう仰っていた。

「一回勝つより、勝ち続けることのほうが、数倍難しい」

 そう言われると当然だろう。だから、踏み出して、一回何かを成し遂げて満足してはいられない。僕たちは、勝ち続けるチームでありたい。そのためには、「継続する」ことの大切さを認識したい。

 継続するために必要なものは2つある。「志」と「振り返り」だ。

 志とは、「何を成し遂げたいのか」だ。チームとしての目的であり、この共通の目的があるからチームになる。言い換えれば自分たちの存在理由だ。これを常にチーム内で共有することで、行動しつづけるモチベーションになる。

 ただし、志だけ持っていてもチームは続かない。志を実現するために根性でやり抜くのも、それはそれで大事なことかもしれないが、それでは「気合いと根性」になってしまう。

 そのような状態にならないためには、継続しながら、成長実感を持てることが大切だ。成長し続けていけば、チームもヘルシーな状態になるし、気合いと根性で続ける必要もない。そのために、振り返りによってサイクルを回し、成長をしていけるとよい。

 そう考えると、志は必要条件で、振り返りは十分条件だ。