政府の洋上風力発電プロジェクト第2弾コンペに、丸紅と東京ガスがタッグを組んで参戦する方針が、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。圧倒的な価格破壊で第1弾コンペを総取りした三菱商事の独走を阻止しようと、各プレーヤーが第2弾コンペに向けて駆け引きを繰り広げている。特集『熾烈なるエネルギー大戦』(全7回)の#1では、激しい駆け引きの舞台裏と水面下でうごめく黒船の正体を解き明かす。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
三菱商事の価格破壊に地元が激怒!
「俺らの海が安く買われた」
2021年12月24日、待ちに待った“クリスマスプレゼント”は全く予期せぬものとなった。
「ん?何かの聞き間違いでねーが?」
政府が公募した洋上風力発電プロジェクト第1弾コンペの結果が、立地自治体である秋田県能代市にも伝えられた。先行事業者である大林組グループが勝つと思っていたが、予想を覆して三菱商事グループが落札。しかも三菱商事の“落札価格”は、地元が想定する半額程度という衝撃的な結果だった。
「俺らの海が安く買われた!ばかにするのもいいかげんにしろ!」。三菱商事圧勝の知らせを聞いた能代市関係者は、冬の日本海のごとく荒れ狂った。
三菱商事の“価格破壊”による圧勝で幕を閉じた第1弾コンペは、エネルギー業界関係者の度肝を抜き、地元からは怒号が飛び交うほど強烈なインパクトを残した。
あれから半年近くが過ぎた。政府の洋上風力発電プロジェクト第2弾コンペは、いよいよその火ぶたが切られようとしている。
参戦するプレーヤーは目下のところ、第1弾コンペを総取りした三菱商事の独走を許すまじと、激しいつばぜり合いを演じている。
そして、激戦が予想される第2弾コンペに新たな挑戦者が登場した。丸紅と東京ガスがタッグを組んで参戦する方針が、ダイヤモンド編集部の取材で判明したのだ。丸紅の広報部は編集部の取材に対して「回答は差し控えさせていただきます」とコメントした。
さらに、第2弾コンペに登場した新参者の裏で、暗躍する黒船の存在が浮かび上がってきたのだ。
次ページからは、各プレーヤー同士の駆け引きの水面下でうごめく黒船の正体も解き明かす。第2弾コンペに参戦するプレーヤーの実名も明らかにしたい。