五感を使って「企業の空気感」を察知

「カジュアル面接→書類選考→面接→課題プレゼン→内定通知→オファー面談→入社」と書かれている企業はありませんか?

「カジュアル面接」は、選考と違って合否を出さず、ざっくばらんに人事や現場社員とコミュニケーションを取る面談です。時々、意味を履き違えてカジュアル面談で「志望動機は?」と聞く採用担当者もいるので残念ですが、基本的には企葉から求職者に事業などの説明をし、質疑応答をしてくれる場です。

 なお「課題プレゼン」では、企業が実際の業務に近いテーマを選出し、求職者がプレゼン資料を作り、それをもとにディスカッション中心に選考を行います。

「オファー面談」は、内定通知後に送付される給与や待遇が書かれた条件通知書について説明したり、不明点を明らかにする場です。

 選考の流れが短い企業と違って、「選考が長くて嫌だな」と思う方もいるかもしれません。なぜ、転職者にとっても企業にとっても、負担が大きい選考を設定するのでしょう? 企業が、「公私含め、あなたのことをよく知っておきたい。そして、私たちのことも知ってほしい」と考えているからです。

「人を大切にする企業」の長い選考を体験した相談者さんの声をご紹介します。

 実際に面倒でした。でも、私にとってはプレゼンの資科作りとディスカッションによって志望度がぐっと上がりました。人事が現場の人とつないでくれたのもよかったですね。「入社したらこんな空気感で仕事をするのか」と想像もできました。

 面接の回数が多いのは面倒なものですが、その分、企業の空気感を肌で感じるチャンスが増えたとも考えられます。転職活動は、動物的な直感が大切です。五感をフルに使って、企業との相性や違和感を察知してください。最近はオンラインで完結する面談も増えましたが、私は相談者さんになるべく職場に出向くよう勧めています。

 急がば回れ。危なくて短い道より、安全で長い道を通ったほうが、着実に物事を進められ、結果としてうまくいきます。選考の流れは、企業の姿勢を浮き彫りにします。