
都留康 著
このような日本ワイン表示制定への動きは、業界主導ではじまった。1986年に「ワイン表示問題検討協議会」が自主基準「国産ワインの表示に関する基準」を制定したが、この基準では、使用原料のラベルでの表示が義務づけられた。
しかし、2000年代に入り日本のワインが注目されてくると、国際ルールとの整合性が問われるようになり、この基準の改善が求められた。
この延長線上に、国税庁は、酒税法に基づく「果実酒等の製法品質表示基準」(国税庁長官告示)を2015年10月に定め、2018年10月から適用を開始した。つまり、「日本ワイン」表示を法的に明確にしたのだ。日本ワインとは、「国産ぶどうのみを原料とし、国内で製造された果実酒」である。この規定を守れば、「ぶどうの産地(収穫地)や品種等の表示が可能」となる。
2つ具体例を挙げよう。「日本ワインコンクール2019」における品種「甲州」部門での金・部門最高賞受賞ワインは、「島根わいん 縁結 甲州2018」で、欧州系品種(赤)部門での金・部門最高賞受賞ワインは、「シャトー・メルシャン鴨居寺シラー」である。このように、「ぶどうの産地(収穫地)や品種」がきっちりと書き込まれている。ラベルの表記にも目を向けると、日本ワインをより深く楽しめるかもしれない。