日本の道・道路がわかる雑学現代の中山道・奈良井宿の街並み Photo:PIXTA

道をたどれば、歴史と文化が見えてくる。地理・地図研究家の浅井建爾氏の文庫新刊『日本の道・道路がわかる雑学』からの一部抜粋で、知っているようで知らない、日本各地の道にまつわる意外な事実、トリビアを紹介していく。

徳川家康の「五街道」整備は、
江戸幕府を開くよりも早かった

 戦国時代、織田信長は統治した諸国で統一された道路の大改修を行った。その後を継いだ豊臣秀吉も、道路整備に大きな功績を残している。しかし、広域にわたり本格的な道路整備に着手したのは徳川家康である。

 秀吉によって関八州への国替えを命じられた家康は、江戸の街づくりと並行して江戸に通じる街道と宿場の整備に着手した。それが、東海道、中山道、日光街道(日光道中)、奥州街道(奥州道中)、甲州街道(甲州道中)からなる五街道である。

 東海道や中山道は1590年代前半からルート選定や宿場町の整備が始まり、東海道では1601年に、中山道ではその翌年に宿駅伝馬制が敷かれた。朱印状によって各宿場に伝馬(駅馬とは別に公用に使わせた馬)の常備を義務付けたのである。日光街道および奥州街道、甲州街道についても江戸幕府が開かれる前の1602年には開設されていた。