「知的能力」よりも「やり抜く力」がものをいう
もともと大手コンサルティング会社のマッキンゼーに勤めていたダックワースは、教師になりたいという長年の夢を叶えるため、会社を辞めて教職に就いた。
12歳、13歳の生徒を対象に数学を教えているうちに、最も成績の良い生徒と最も成績の悪い生徒との違いがIQだけでは説明がつかないことに気づく。
そして、「少なくとも中学1年生の数学については、IQの数値に関係なく、粘り強く勉強をすれば、誰でも必ず習得できるようになる」と確信するようになる。
ダックワースはより心理学的な見地から、子どもたちのモチベーションを高める学習環境を作る方法を学ぶべく、心理学者の道を志すようになったという。
そして研究のために完成させたのが「グリット・スケール」だ。
グリット・スケールは、人がどれだけグリットがあるかを測るテストである。10項目に答えることで、自分のグリットの強さがわかるようになっている。本書にももちろん載っているので、時間があったらぜひやってみてほしい。
「グリット」に必要なモノ
ひと言で言うと、グリットというのは、ひとつの重要な目標に向かって、長年の努力を続けることである。困難があっても、目的を達成するためにとてつもなく長い時間、継続的に、それこそ歯を食いしばって(グリットという単語には「歯を食いしばる」の意もある)粘り強く努力することができるのが、グリットである。
短期間であっても肝心なときにどれだけがんばれるかというのも、もちろん重要だ。だが、「途中でやめてしまうこと」は進歩の妨げとなるもっとも大きな要因だとダックワースは言う。まさに昔から言われてきたとおり「継続は力なり」なのである。
卑近な例だが、ダイエットだってそうだ。やり抜く力のある人にとっては、一日にどれだけ努力するかよりも、毎日毎日目が覚めた瞬間から「今日もがんばろう」と気合いを入れ、挑戦し続けることが重要なのだ。
だからこそ、グリットはスタミナを必要とする。そしてそれだけがんばって取り組むには、その対象に対する情熱、興味も不可欠だ。つまり、グリットにもっとも必要な要素は、「情熱」と「粘り強さ」なのである。