異次元緩和立て直し委ねられる「植田新総裁」、4つの主要課題衆議院の所信聴取に臨む植田和男日銀新総裁 Photo:Tomohiro Ohsumi/gettyimages

10年前とは大きく変わった
政治や経済物価の情勢

 異例の2期10年を務めた黒田東彦総裁の下での日本銀行の最後の政策決定会合が3月9、10日で開かれ、「緩和維持」を決めて、黒田日銀による政策決定はすべて終った。

 黒田総裁が任期を終える4月8日以降は、新しい総裁に植田和男氏(経済学者)、副総裁には内田眞一氏(日銀理事)および氷見野良三氏(前金融庁長官)が就任する。

 日銀の体制が大きく変わるのを機に10年間続けられた異次元緩和が修正されるかどうか、金融市場やメディアの関心は高い。

 もともと異次元緩和は10年前の政権の意向を強く受けて始まったものであり、当初から賛否両論があった。

 当時の安倍首相は亡くなり、経済物価情勢もデフレ脱却が最優先課題だった10年前とは様変わりだ。消費者物価の上昇率は約41年ぶりの4%台に達している。

 この後は低下に向かうと予想されるが、ひとたびここまでインフレが高まった以上、2%物価目標が達成される可能性も皆無とはいえなくなってきている。

 差し当たり注目されるのは、弊害が明らかなイールドカーブ・コントロール(YCC)をどうするかだ。