2月14日、政府は4月8日に任期満了となる日本銀行の黒田東彦総裁(78)の後任に、元日銀審議委員で経済学者の植田和男氏(71)を起用する人事案を国会に提示した。植田氏はどんな考えを持った人物か。2014年に「週刊ダイヤモンド」に登場した時の発言を再掲する。(ダイヤモンド編集部)
※本稿は、週刊ダイヤモンド2014年5月3日・10日合併号から抜粋し再編集したものです。人物の肩書や数字を含む全ての内容は取材当時のまま。
日本銀行による異次元金融緩和の開始から1年が経過したタイミングでの評価を、金融の専門家2人の対談でお送りする。日銀の苦労を理解し、実務にも通じる2人に、今後の政策運営の在り方について議論してもらった。
日銀次期総裁の植田和男氏が
異次元緩和開始1年の政策効果を語る
――日本銀行は昨年、非常に出口の難しい政策に入り込みましたね。
加藤 もうルビコン川を渡っちゃったので、この路線でいかにうまく運営していくか、ですね。
植田 ですから私自身は、出口を出終わるまで点数は付けられない。しかし、政権が始めちゃったことなので、あのときは誰が日銀総裁になっていても、渡った後を付いていくしかなかったんじゃないですか。
加藤 2012年末の衆議院選挙で、国民が選んだともいえます。
植田 もちろん9人中6人の政策委員はこれまでと同じメンバーなので、過去に投票してきた方向性に投票することもできた。その場合、異次元緩和は否決ですよね。
加藤 それが政策委員会の制度なのだから、今までと同じ態度で委員が投票するのは仕方ない、という解釈もできたはずです。
植田 本来、安倍政権になる前に決定すべきでしたね。白川方明前総裁のときから提案していれば、否決されていても、何回か提案が出る限り、連続性はありますから。
――この1年の政策効果は出ているのでしょうか。