保険ラボ

ほけんの窓口の臨時株主総会
伊藤忠が一時的に完全子会社化

 それは突然のことだった。2月上旬、ほけんの窓口グループから臨時株主総会の招集通知が届いたのだ。臨時株主総会の開催日は2月17日で、議案は「株式併合について」――。

 株式併合とは、10株を1株にするといったふうに、数個の株式を合わせて少数の株式に統合するというもの。増えすぎた株式をまとめることで株式の管理コストを軽減したり、株価を調整したり、少数株主を減らしたりすることなどに利用される。

 ダイヤモンド編集部が入手した招集通知によれば、今回の株式併合を行うことによって、1株以上の株式を保有するのは親会社である伊藤忠商事のみとなる。その結果、90を超える少数株主は1株未満の端数となり、会社法の規定に基づき、裁判所の許可を得た上でほけんの窓口が買い取る。

 そして株式併合により一時的に完全子会社化した後に、住友生命保険と日本生命保険に株式を割り当てる。これで、ほけんの窓口の株主は3社に絞られる。それぞれの持ち株比率は伊藤忠が92.01%となり、次いで住友生命が5.33%、日本生命は2.66%となるというスキームだ。

ほけんの窓口グループほけんの窓口グループが送付した臨時株主総会の招集通知 Photo by Akio Fujita
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 要は、親会社の伊藤忠が76.21%の株式を保有するに至ってもなお、創業時の出資者などを含め90名超の株主がいるため、意思決定に手間も時間もかかる。そこで、個々の株主の同意を得ることなく、金銭を対価として株式を取得する「スクイーズアウト」という株式併合の手法を使い、少数株主を排除するというわけだ。

 なお、少数株主に対しては、2月27日時点の株式保有数に6600円を乗じた金額を支払うなどで、実に約150億円もの資金を投じることになる。

 ではなぜ、これほどの巨額資金を投じてまで少数株主を排除し、伊藤忠による支配を強める必要があるのか。その理由については、ほけんの窓口が抱える課題と共に招集通知に赤裸々に綴られている。その内容をひも解きながら、ほけんの窓口が置かれた現状を次ページで詳述していこう。