ほけんの窓口・猪俣社長に聞く
7月に策定した経営方針の具体的な中身
乗り合い代理店業界のリーディングカンパニー、ほけんの窓口グループ。今年4月1日に伊藤忠商事出身の猪俣礼治氏が3代目社長に就任し、それから約半年が経過。7月1日に2022年度経営方針を発表し、9月27日には第28回株主総会を開催した。
猪俣氏が掲げる経営方針は、「お客さまに感動をお届けする『未来創造企業』になる」というもので、以下の二つのことに注力するという。
(1) お客さまに、かかりつけの安心をお届けする
(2) 従業員一人ひとりがアイデアを出して、行動できる集団にしていく
一つ目は、保険業界にありがちな「保険は営業されるもの」「売って終わり」を払拭すべく、いつでも気軽に相談できる存在を目指す。そのために、今年のダイヤモンド・オンライン保険特集のインタビューで述べた「顧客とのつながり」を重視し、そこにDX(デジタル・トランスフォーメーション)を組み合わせることで「かかりつけの安心」を推進していく考えだ(参照:『伊藤忠出身の「ほけんの窓口」猪俣礼治新社長を直撃!新たな経営方針は?』)。
2つ目は、新型コロナウイルスのまん延で来店客の減少が続くなど、保険ショップを取り巻く環境には急激な変化が起こっているが、それを打破すべく新しい挑戦をしていくというもの。そのために、前例にとらわれず、自由に意見が言えてアイデアがどんどん出てくるフラットな組織を目指す考えだ。
現状を見ると、右肩上がりを続けてきたほけんの窓口の業績はコロナ禍で足踏みし、22年6月期はついに大幅な減収減益となった(下図参照)。
もっとも足元の状況は、ここ数年のコロナ禍からの反動による来店客数の増加や、10月から大幅に値上げされた火災保険の見直しによる駆け込み需要などによって回復基調にある。だが、かつてのような成長を続けることができるかどうかは、今後の施策にかかっているだろう。
猪俣氏は顧客との“つながり”を増やすというが、具体的にどのような戦略を描いているのか、人材強化のための新人事制度やデジタル戦略はどうなるのか。また、かねて直営店との差異が課題となっていたパートナー事業(ほけんの窓口のフランチャイズ事業)をどうするのか。課題は山積している。
そこで、株主総会を終えた直後の猪俣氏を直撃。併せて、今年7月に秘書室長に就任し、猪俣氏の右腕を担う執行役員の穂積英昌氏を含めた両氏に、今後の経営方針や具体的に取り組んでいる内容について話を聞いた。
――先ほど株主総会を終えられましたが、パートナー企業の皆さんの反応などはいかがでしたか。