映像には、「ナマケモノの赤ちゃん」や「知らない人の結婚式の風景」など、いろいろな感情を引き出すものを準備しておきました。その際、ただ映像を見てもらうだけではなく、映像を見ているときの脳の活動を磁気共鳴機能画像法(fMRI)という装置で調べました。この機械は、脳のどの部分が活動しているのかを調べるもっとも最新の装置です。

 すると面白いことがわかりました。仲のいい友達とは、脳の活動が驚くほど似ていたのです。脳の活動が似ているということは、同じような感情を味わっているということでもあります。参加者が、ある微笑ましい映像を見て、愉快な気分になると、仲のいい友達も同じように感じていたことが明らかにされたのです。

 仲のいい人とは、あまりケンカも起きませんが、その理由は、お互いの気持ちが手に取るようにわかるからでしょう。わがことのように相手の感情がわかるので、相手が嫌がるようなことはしませんし、相手が喜ぶようなことだけをすることができるのです。

 だれからも好かれる人の特徴のひとつに「共感性」が挙げられます。相手の気持ちをきちんと理解できる能力のことを「共感性」というのですが、好かれる人は、相手と同じように自分の脳を活動させているのかもしれません。

 では、どうすれば共感性が磨けるのかというと、とにかく相手に興味を持って、しっかりと観察することが大切です。相手の顔を見ていれば、相手がどんな感情なのかが、ある程度は理解できます。

 相手の顔を見て、同じ表情を自分でも作ってみるのもいいですね。相手が笑っていたら、自分はそんなに面白いと思わなくとも、一緒に笑ってみるといいですよ。相手と同じような表情を作るようにしてみれば、相手の感情も理解できるようになりますからね。

第一印象は捨てていい!

「第一印象が大事」とよく聞きますが、初対面でそんなによい印象を与えることができなくとも、そんなに気にすることはありません。1回であなたの魅力を伝えられないのなら、2回、3回と回数を増やせばいいのです。

 ウィスコンシン大学のエディ・ハーモン=ジョーンズは、33名の女子大学生に10人の女性の写真(イヤーブックから集めました)を1回だけ、あるいは2回見せて、どれくらい好ましく感じるかを9点満点で尋ねてみました。その結果、1回だけ見せるより、2回見せたときのほうが、好ましさがアップすることがわかりました。