従来型のオリエンテーションや研修などのオフ ザ ジョブ トレーニング(OFF-JT/仕事から離れてのトレーニング)にプラスして、日々の業務を通じたOJTを組織・チームの中で実施するところも増えています。従来型では最初にみっちり研修を実施して、その後、配属先でOJTを実施するやり方が多いと思いますが、長すぎるOFF-JTは要注意です。

 というのも、OFF-JTでのトレーニング中は、組織やチームに所属はしていても、まだ通常空間とは遠い、一種の温室のような所にいる状態といえるからです。社会人としての心構えや振る舞いを知る必要がある新卒社員ならまだしも、異動や転職で来た新メンバーなら組織・チームに早い段階から関わるようにして、環境への順応をした方がよいのです。

 自分が実際にどんなメンバーとどんな仕事をするかを早くから理解することによって、OFF-JTの座学で得た知識も生きてくるというものです。効果的なオンボーディングのためには、OFF-JTとOJTをハイブリッドに組み合わせるのがよいと思います。

新メンバーへの共有資料には
「サバイバルガイド」的要素を入れる

 オンボーディングでは実際にどんなことをすればよいのでしょうか。

 まずは、新メンバーが仕事をするための環境を整えることです。机やパソコンなどの道具やメールアドレスをはじめとしたアカウントなどを用意しておきます。「当たり前のことじゃないか」と思われるかもしれませんが、小さな会社、忙しい部署などでは、これができていないことが結構あります。新メンバーがすぐに自分で作業できるような環境を用意しておきましょう。

 続いて、資料の作成・共有が挙げられます。

 新メンバーが新しい仕事に就いてから3カ月間の目標を文書化しておく「30-60-90日プラン」という手法があります。これは最初の30日、60日、90日にそれぞれ何をできるようにするか、あらかじめ計画しておくというもの。この中では新メンバーに何を期待するか、KPI(Key Performance Indicator、重要達成度指標)を何にするかをドキュメントとして明確にし、新メンバーに共有するとよいでしょう。

 共有する資料の中には、一種の「サバイバルガイド」的な要素を盛り込みます。新メンバーはある意味、知らない土地に放り出されたようなものです。そこで旅行ガイドブックやサバイバルガイドのように、資料の中には何かあったときに行くべき場所や相談すべき人、開かれている会議の内容や出席の必要性の度合いなど、情報を網羅的に載せておきます。