現代日本では、高齢者世帯の約半分が一人暮らし。高齢の親が心配、しかし離れて暮らしているのでどうサポートすればいいか分からないという人は多いのではないだろうか。前回は、ネットワークカメラや各種センサーで親が住む家を「見える化」する方法を中心に紹介したが、今回はGoogleやAmazonのスマートスピーカーを使って親の日々の生活をサポートし、簡単なビデオ通話ができるようにする方法を紹介する。「スマートスピーカーなんて、ITに強い人でないと使いこなせない」と思うかもしれないが、実は、高齢者にはとても使いやすいデバイスなのだ。(テクニカルライター 和田亜希子)
「OK Google」「アレクサ、○○して」、声で操作できるスマートスピーカー
「OK Google、今日の天気は?」「アレクサ、ジャズを聴かせて」といったように、声だけで情報検索や家電操作が可能な「スマートスピーカー」。登場して久しいが、日常的に使っている人はまだごく一部のようだ。オンラインリサーチ会社マイボイスコムの2021年4月調査によると、利用している人は1割に満たない。さらに「使いこなしている」となると、ネットリテラシーが高く、最先端のデジタル機器にも詳しい、ごく一握りの人に限られるだろう。実際私自身も、天気とニュースの確認、あと音楽を聴くのに使っているくらいだった。
なので、スマートスピーカーを「高齢の親の生活サポートに使う」という発想に至らないのは当然だと思う。私も、親見守りの初期には考えもしなかった。ところが、軽い認知症が始まった母に振り回されるようになって、「どうしたら親が一人で、正しい日付や曜日、スケジュールを確認できるようになるだろうか」と悩んだ結果、たどり着いた答えが「スマートスピーカー」だった。そして導入してみたところ、期待値をはるかに上回る結果が得られたのだ。