デスクも部屋も散らかり放題で、いつも探し物…片付けベタ
【23歳・ADHDの会社員の例】

 ADHDのJさん(23歳・女性)は片付けが苦手。デスク周りは物であふれ、毎日のように探し物をしています。ときどき注意され、突発的に片付けに目覚めるのですが、しばらくすると元通り。自宅の部屋も同じ状態だと言います。

 このような片付けベタは、ADHDの人に非常によく見られる特性です。注意散漫なため、出したものをほったらかして別のものに気を取られてしまったり、つい資料や雑誌を読みふけってしまったり。空間認識能力が弱く、スペースを有効活用できなかったりすることもあります。また、ASDの特性も併発している場合は、優先順位をつけるのが苦手なため、不要なものでも捨てられず、ため込んでしまうことがあります。

 さらに、衝動性から興味のあるものを次々に買い込んでしまいます。いきおい、乱雑さは増すばかり。

「よく平気だね」と周りは思ってしまいますが、本人もそれを心地よいとは思っていません。気が散りやすいADHDの人にとっては、整頓された空間のほうが本来は居心地がいいはずなのです。

 実際にJさん自身も、私にこんなことを話してくれました。

「私の部屋を見た人はたいてい、『片付けたほうがいいよ』と言うけど、私もこれでいいと思っているわけじゃありません。いつも『今日こそは』と思って片付けはじめるんだけど、なぜかどうしても、部屋がきれいにならない! 理由がわからなくて、『誰か助けて!』という感じです…」