「自分かも?」と思った人へ、生き方のヒント

書影『発達障害の人が見ている世界』『発達障害の人が見ている世界』岩瀬利郎著(アスコム刊)

 前述の話に心当たりのある方は、ぜひ紹介した片づけ法を実践してみてください。意識するだけでも、日々の行動が変わり、自然と身の周りがスッキリしてくるはずです。

 ここではお話ししたいのは、ASDの特性から「片付けられない」人の場合です。

 同じ「片づけられない」でも、ASDの特性による場合は、「自分としてはこれが一番心地いい」と考えていることもあります。

「物が取りやすい」など本人のルールでは理にかなっていたり、コレクター気質から、周りからは理解できなくても、本人には宝物だったりすることがあるからです。

 ただ、職場や学校など公共のスペースでは、最低限の配慮は必要です。周りの人が不快にならない範囲で、物を整理したり、処分したりしましょう。

 それさえ心掛けていれば、無理に「片付けなければ!」と気負う必要はないでしょう。なぜなら、それがあなたにとって一番心地よい空間なのですから。

岩瀬利郎(いわせ・としお)/精神科医、博士(医学)、東京国際大学医療健康学部准教授

岩瀬利郎(いわせ・としお)
精神科医、博士(医学)。東京国際大学医療健康学部准教授/日本医療科学大学兼任教授。埼玉石心会病院精神科部長、武蔵の森病院院長、東京国際大学人間社会学部専任教授、同大学教育研究推進機構専任教授を経て現職。精神科専門医、睡眠専門医、臨床心理士・公認心理師。著書に『心理教科書 公認心理師 要点ブック+一問一答 第2版』、『心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 第2版』(ともに共著、翔泳社)など。メディア出演に、テレビ東京系「主治医が見つかる診療所~寝起きの悪い人と寝起きのいい人の体は何が違うの~」、NHK BS プレミアム「偉人たちの健康診断~徳川家康 老眼知らずの秘密~」など。