握手をする林芳正外相と中国の李強首相会談の冒頭で握手をする林芳正外相(左)と中国の李強首相 Photo:JIJI

邦人拘束が引き金となり
林芳正外相が訪中

 4月1~2日、日本の林芳正外相が中国を訪問した。コロナ禍の影響なども受け、日本の外相として3年3カ月ぶりの訪中となった。林外相の中国滞在中における主なアジェンダは以下であった。

・2日午前10時30分(北京時間)から秦剛国務委員兼外相と会談(約3時間。うち1時間は少人数のみでの会談)、およびワーキング・ランチ(約45分)
・2日午後4時、 李強首相への表敬(約40分)
・2日午後5時30分、王毅政治局委員兼党中央外事工作委員会弁公室主任と会談(約30分)、および夕食会(約70分)

 日中両外務省が林外相の訪中を公式に発表したのは3月31日である。この期間、両国政府は林外相訪中の日程やアジェンダを巡り継続的に交渉・調整を続けてきたが、ここに来て日程が一気に決まったというのが実態であろう。

 特に日本側からすると、一つの引き金になったのが「3月下旬に北京で発生した新たな邦人拘束事案」であり、世論やビジネス界の関心も非常に高い案件なだけに、岸田政権として、邦人の早期解放に向けて林外相を北京に送り込んだ。

 自国の立場から日本との関係を戦略的、安定的に管理したい中国側としても、3月の全国人民代表大会を経て新政府が発足、始動したこのタイミングで日本の外相を受け入れることは、国益増進の観点から悪くないという判断だったのではないか。