「退職金制度」がジョブ型雇用導入の壁?日本特有の生産性向上の盲点高度専門家は、一つの企業に縛り付けられるのではなく、転職を繰り返していくことが必要だ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

生産性向上や高度人材確保で
ジョブ型雇用が広がる条件

 ジョブ型雇用を導入しようとする企業が増えている。

 ITエンジニアやデータサイエンティストなど、高度デジタル人材に対する需要が高まっているからだ。

 ジョブ型雇用というのは、職務記述書(ジョブディスクリプション)によって職務内容や報酬を明確にし、雇用契約を結ぶ仕組みだ。

 これまでの日本型の雇用の仕組みでは、従業員の専門性を高めることが難しい。それが日本経済全体の生産性を低める基本的な原因になっているとの問題意識が根底にある。

 しかし、この制度は一部の企業だけが導入してもうまく機能しない。専門家が一つの企業に縛られるのでなく、転職が容易にできる条件が整えられていなければならないからだ。

 日本では企業間の移動が困難だと言われる。そうだとすると、ジョブ型雇用の導入は難しくなる。導入拡大には退職金制度など日本の雇用制度の基本が変わる必要がある。