四十肩・五十肩を防ぐストレッチ4選、理学療法士おすすめの姿勢・セット数は?Men's Health US
*本記事はEsquireからの転載です。

四十肩、五十肩をあなどってはいけない理由

 ときどき肩が動かなくなるような感じがしたら、それは肩が炎症によって固まってしまっているのかもしれません。

 日本では四十肩、五十肩と言われる「肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)」ですが、その有病率は、一般住民の約1~10%程度に存在すると考えられています ※1(とは言え、肩関節周囲炎の診断基準が不明確なため各論文ごとにその定義が異なるということ、また母集団もさまざまであることを考慮すると明確なエビデンスは存在しないと言えます)。また、糖尿病患者の10~30%が併発するというデータもあり、糖尿病との関連性が高いという指摘もあります。

〈参考資料※1 理学療法の臨床と研究 第 25 号 2016年〉

 アメリカでは人口の約5%、特に40~60歳の成人に痛みと可動性の問題を引き起こしているというデータがあります。治療をせずに放置してしまうと、場合によっては、肩がほとんど動かなくなってしまうケースもあると言われています。日常生活では多くのことに「肩」を使用していますので、その部分に痛みやこわばりの問題を抱えてしまうと、予想以上に多くのことに支障をきたしてしまうと気づくでしょう。

 控えめに言ったとしても、その状況は大変なことです。ですが、ニューヨークの理学療法クリニックの理学療法士であるキャメロン・ユエン博士が肩の関節を動かして、正常な動きを戻すために役立つストレッチを紹介してくれました。

「肩関節周囲炎」とは? その原因

 英語では“フローズンショルダー(Frozen Shoulder=凍った肩)”とも呼ばれる「肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)」は、肩関節のこわばりや痛みが特徴です。関節を構成する骨、軟骨、靱帯や腱などが老化して肩関節の周囲の組織に炎症が起きることが主な原因と考えられています。

 肩関節は網目状の結合組織で囲まれており、この組織が厚くなることで関節の周りを締めつけ、動きを非常に困難にしてしまうというわけです。

 この症状は、さまざまな原因で起こる可能性があります。肩の脱臼のような長引く怪我や、心血管系疾患や糖尿病のような病気の結果であることもあります。ときには、明確な理由がなく起こることもあり、これは「特発性肩関節周囲炎」と呼ばれています。