結婚後に住む場所は
トラブルの元

 住まいに関しては大きな金額が動きますから、お金の話と密接に関わってきます。実際の交渉の事例を挙げてみましょう。よくあるのが結婚後に住むところで大ゲンカになるケースです。

 争点になるのは、女性は「自分の親に子守をしてほしい、年中実家に帰って息抜きしたい」、男性は「通勤時間を短くしたい、義実家とはある程度距離を保ちたい」という隔たりです。

 先日、真剣交際に入った女性は、実家のある千葉よりの東京方面に来てほしいと主張しているけれど、男性は、お住まいも会社も神奈川の横浜方面で、なるべく近くにさせてほしいと言います。一般的には、地図を持ってきて中間地点を落としどころにするか、折り合いをつけながら交渉していくのですが、彼女は「次のデートで、ウチの近所に住んでくれないなら破談にすると言っていいですか?」と言いだしたので、「ちょっと待ってください。いったん冷静になりましょう」と間に入りました。

 女性に対して私は、「結婚式は絶対大勢ゲストを招いて100名以上で盛大にやりたい、エンゲージリングはティファニーがいい、住むところは自分の実家の近くがいい、全部を譲らないの? 男性は年収1500万円もあって、あなたは年収400万円なんだから、彼の仕事をサポートするつもりで、今は横浜に住んであげて、子どもが生まれたらまた一緒に考えていけばいいんじゃない?」と説得しました。

 一方、男性に対しては仮交際中に結婚後の住まいは「こだわりがないので、どこでもいい」とおっしゃっていたのですが、真剣交際に入ってみたら、「やっぱり通勤がつらい」ということで騒動になった経緯を示しました。「真剣交際に入りたいがために、いいですよって言いましたよね? 彼女としては、言っていることが違うと思って当然じゃない?」と追及します。

 こんなふうに双方の意見を聞いて、バランスを見て、ほどほどのところで交渉していくのです。