実際どういう落としどころになるかというと、共働きが多いですから、収入額に応じて7対3や6対4でひとつの口座に入れて家計をまわすというスタイルです。例えば、手取り年収400万円と600万円だったら、月10万円と15万円を出しあって25万円で家計をまわし、月10万円と15万円を共通の貯蓄にまわして、あとは個人の手元に残す、というような考え方です。なお、金融広報中央委員会の調査では、年間手取り収入の約10~15%を貯蓄にまわす人が全体の約20%と最も多い数字だそうです。
家計の余剰分は、旅行や家電の買い替えなど流動的な出費にまわして、子どもが生まれたら、もう一度見直していくのです。育休産休から時短勤務の時は妻の収入が減りますから、夫ひとりの収入でやっていけるか、ある程度は貯金で賄えるようにしておくか。そういうことを話し合っていただきたいのです。
まとめると、元々持っていた資産や貯金はその人のもので、結婚してからは自分たちの収入からそれぞれ出し合う。そして、個々の収入や財産と、家計のお金は分けて考えるということです。ただ、女性は出産して働けなくなることもあります。男性は自分の子どもを産んでもらうのだから、十分にカバーできるように想定していただきたいですね。
妻が正社員で働いている家庭の場合、これが共働き時代のスタンダードになってきています。全国を見渡すと、専業主婦の女性や、非正規雇用で年収100万円未満の女性もいます。そういう場合は、女性の仕事は子育てになり、パート代は子どもの保育園代とお小遣いになるでしょう。
男性の収入だけでも食べていけるのに、なぜ、それぞれがお金を入れたほうがいいのかというと、家計の不公平感と、家事育児の分担の不公平感が積みあがるとケンカに発展するからです。
お互いの収入に応じて、平等に家計にお金を入れておくと、家事育児の分担にも落としどころが見つかりやすくなります。例えば、6対4でお金を入れていれば、家事育児は数字にはできませんが4対6を目安にしてみましょう、と考えられるはずです。もちろん、収入と働く時間は必ずしも比例しませんから、これが絶対ではありませんが、結婚する最初の段階で、平等に支え合うベースになっていきます。