『銀河鉄道999』松本零士さんが「死ぬ瞬間まで夢も希望も残されている」と語った思いPhoto:Stefano Guidi/gettyimages
*本記事は本の要約サイト flier(フライヤー)からの転載です。

おすすめポイント

『銀河鉄道999』『宇宙戦艦ヤマト』『男おいどん』。数々の名作を創り出した松本零士氏は、2023年2月13日に85歳で亡くなった。本書は、2018年に、80歳になった著者が中高生の明るい未来を願った一冊だ。画業60年以上を経てなお活躍し続けた著者の言葉は、少年のようにみずみずしい。子供たちの未来に無限の可能性を信じる著者は、自分の人生にもまだまだ未来があると信じていた。死ぬ瞬間まで夢も希望も未来も残されていると語った著者は、その言葉通りに最期まで夢を生き切ったように思える。

『君たちは夢をどうかなえるか』書影『君たちは夢をどうかなえるか』 松本零士著 PHP研究所刊 1320円(税込)

「夢」「創作」「人生」「時」「闘い・友情」「生命」。6つのテーマを通して本書は「君の夢をどうかなえるか」と問いかける。テーマごとに著者の体験の紹介や、作品のセリフの引用がされ、漫画のコマも随所に盛り込まれる。作品に込めたメッセージを著者の言葉で読むことができるので、ファンにはたまらない内容だ。著者ならではの創作論についても語られ、未来のクリエイターにとっても参考になる点が多いだろう。「夢をかなえた大先輩」というべき松本氏の言葉には、夢を諦めそうになっている人にも響くものだ。80歳になっても少年の心を失わなかった著者の姿を見ていると、今を生きる私たちにも、多くの未来が残されていると信じたくなってくる。夢を抱き、限りある人生でそれに向かい、多くの経験を命に刻む。「君は夢をどうかなえるか」という問いに答えようとすることこそ、生きるということなのだろう。(池田友美)