“中国物流御三家”の幹部が語る「中国の生産拠点を撤退」の可能性が高い企業の条件日新は北京五輪の輸送にも携わった 写真提供:カーゴニュース

2022年9月、わが国と国交正常化50周年を迎えた中国。重要な貿易相手国として強い経済的結びつきを保持してきたが、コロナ禍を経て同国を取り巻くグローバルサプライチェーンには大きな変化が訪れている。日系物流会社として最も早く中国へ進出し、日本通運、山九とともに“中国物流御三家”と称されてきた日新の章征栄・執行役員中国統轄に、中国物流の最新事情と今後の市場展望を聞いた。(カーゴニュース編集部)

*本記事はカーゴニュースからの転載です。

中国進出から68年――
市場の変化に併せて成長

 当社が中国事業を開始したのは1955年――中華人民共和国の建国からわずか6年後、日中国交正常化より17年遡るこの年に、日本で初開催された中国展示会「中国商品展覧会」で展示品の通関・輸送諸作業を受託したことが始まりです。

 翌年には中国で開かれた戦後初の日本商品展示会の物流も担い、さらに64年には日中航路初となる在来船代理店業務を受注。70年代に入ると日中間で初めてコンテナ海上輸送を開始し、81年には日本の物流会社として早々に中国駐在員事務所を北京に開設しました。そして92年には中国現地法人(上海)を設立したことで日中間の自社ドアtoドアオペレーションが実現し、同国事業の基盤が確立しました。

“中国物流御三家”の幹部が語る「中国の生産拠点を撤退」の可能性が高い企業の条件沿岸部を中心に拠点網を持つ 画像提供:カーゴニュース

 現在は沿岸部主要都市に5現地法人を構え、40カ所以上の営業拠点と18万平米の運用倉庫面積を誇ります。駐在員数は24人、現地職員は約700人に上り、売上高は173億円に達して、当社海外事業売上高の約25%を占めるなど、非常に重要なポジションを担っています。 

 当社の中国物流は当初、日系製造業の同国進出に必要な設備機械の輸送や工場稼働後の部材・原材料輸入、加工製品の輸出などフォワーディングビジネスが中心でしたが、2000年代に入ると中国市場に参入する日系リテール企業の物流が拡大。市場の変化に合わせて必要とされる機能は広がり、当社ビジネスも幅広いポートフォリオを揃えるに至っています。