働きがいに存在する男女格差
解消への視点とアプローチとは?
GPTW Japanの調査設問 60 問において、女性の方が男性よりスコアが高い設問は8問のみ(13%)。残りの 52問(87%)は男性の方が女性よりスコアが高い設問だった。つまり、働きがいには男女差が存在し、男性の方が女性よりも働きがいを感じていることがわかる。男女差が特に大きい設問として、仕事・会社への「誇り」と「公正」に関するものが上位に並んだ。
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女性管理職比率が高い職場は、働きがいのスコアも高い。女性管理職比率を高め、ジェンダーパリティー(ジェンダー平等)を目指すために、職場の「働きがい」を高めることが欠かせない。女性管理職比率の高い職場の方が、働きがいのスコアも高いという傾向は男女のいずれにも確認された。
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女性管理職比率別に、男女差が顕著な設問をピックアップしたところ、「仕事への誇り」「昇進昇格」「性別に関係なく正当に扱われている」の 3 問だった。仕事の誇りに男女差が大きいことは、女性が担う職種・ポジションの影響があると考えられる。また、昇進昇格の認識ギャップや性別に関係のない正当な扱いが不十分であることも、男女賃金格差の一因となっていると推察される。
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GPTW Japanの荒川陽子代表によれば、「日本企業ではこれまで女性活躍のために『働きやすさ』に注力してきた印象がある。これからは『やりがい』にも目を向けないといけない」という。
また、早稲田大学政治経済学術院教授の大湾秀雄氏は、男女格差を解消するアプローチとして(1)社長直下に D&I(ダイバーシティー&インクルージョン)推進室を置き、社長に説明責任を課すなど組織的責任を明確にする、(2)性別職域分離や出産前後で収入が下がるチャイルドペナルティーを解消するためにジョブ型雇用などの人事制度改革を実行する、(3)ジェンダーバイアスに関する理解を広げる研修および管理職へのフィードバック、(4)メンター制度などによる情報ネットワークの男女格差縮小を図る施策という4つの方法を示す。
いずれにせよ、男女関係なく活躍できる組織をつくるには、会社への「誇り」や「公正」を醸成させる取り組みを実施し、自律的なキャリア形成を促すことが大切だ。
なお、働きがいは新卒採用にも影響を及ぼす。上位ランクインを目指す努力の過程で、自社の経営戦略や人事戦略を見直すことが働きがいの高さにつながり、新卒採用でも有利に働くようだ。