大山古墳に眠る「仁徳天皇」の知られざる功績、大阪の礎を築いたといえる訳仁徳天皇が眠っているとされる大山古墳 Photo:PIXTA

「仁徳天皇」の名前を聞いたことがある人は多いだろう。歴史の教科書にも載っている日本最大の古墳、大山古墳(大阪府堺市)に眠っているとされる人物だ。だが、その功績はあまり知られていない。近畿地方の歴史をひもとくと、実は仁徳天皇は「大阪の礎を築いた」といえるほど、町の造成やインフラづくりに貢献していたことが分かる。古事記や日本書紀などの記述を踏まえながら、仁徳天皇の知られざる功績に迫る。(作家 黒田 涼)

大山古墳に眠る仁徳天皇
その知られざる功績とは?

 古代の天皇ではトップクラスの知名度を持つ仁徳天皇だが、何をした天皇だかご存じの方はどれだけいるだろうか。詳しい方でも「民のかまどの煙」の逸話ぐらいしかご存じないのではなかろうか。

 仁徳天皇は即位後、民家のかまどから煙が出ていないことに気づき、「民衆は食事を準備できないほど貧しいのか」と考えた。そして3年間は税金の徴収をやめたところ、民家のかまどから煙が出るようになったというエピソードである。

 これが事実であれば、なんとも器の大きな人物である。だが筆者は、仁徳天皇の最大の功績は、現在の大阪の基礎を築いたことだと考える。さて何のことか。

 もう少し古い時代にさかのぼりながら、そういえる要因を解説していこう。