日本企業が変革するために
必要な3つのこと
では実際に変革を進めていくにはどうすればいいのか、3つにまとめる。
【1】仕分け:立ち上げ期、成長期、衰退期が始まった事業(製品・サービス)を仕分ける
まず事業の仕分けが必要だ。自分たちのビジネス、業界が伸びているのか、成長しているのかを適切に見極める必要がある。
面白いのは衰退している事業の中にも思わぬ発見があり、まだ満たされていない顧客の期待する価値を提供する形で、事業自体を再定義することや復活するときがある。
その場合は衰退市場でニッチを見つけてそこで居場所を見つけるという戦略なのか、そもそも市場ドメイン自体を再発見したことで、事業ドメイン自体を新たに生み出し、パイとして大きくできるような取り組みなのかをしっかり見極める必要がある。とにもかくにも一度、自分たちのビジネスのステータスを徹底的に振り返る必要がある。
【2】運営:成長期と衰退期の事業毎にリソース投入のガイドラインを設けて、一定割合のリソースを振り分け続ける
仕分けが終わったら次は運営していく人員、リソースを決めていく。どの部門に何%割くのか。はたまた、引き上げるのか。場合によっては新規事業の立ち上げも必要になる。リスクの高いことをやれと言っているわけではない。急激な人員の引き上げや増員を行えばトラブルの原因にもなってしまうため、例えば「5%までは新規事業に人や予算を回す」といったガイドラインを定めることも大切である。
【3】調達:足りないものをどこから持ってくるのか決める
事業を仕分け、人や予算を振り分けた。それでもリソース不足は発生する。
変化の激しい現代、人財や知見・知財や経験も含め、他社と協力し合うことが大切だ。スタートアップ買収から、技術導入までいろいろある。同様にすべての知財に関しても自社で持つのか、使用許諾料や特許をどうするのかといった戦略が必要だ。
不確実性が高い時期には、フレキシブルな形が必要となる。具体的には、業務委託や協業・提携など資本を含まない形の補完関係になる。事業が成長軌道に乗って来た際には、採用やリスキリング可能な人財の社内配置転換、資本提携・買収が効果的となる。アウトソーシングはその内容により、どの事業サイクルであっても検討可能なものの、アウトソーシング対象業務を事業の成長の核としてはいけない。
以上、単純化して「仕分け」「運営」「調達」という観点から日本企業がするべきたった3つのこととして整理した。
経営資源が尽きないうちに、当たり前のことを馬鹿にしないでちゃんとやる、という定石の獲得に振り向けて、より多くの日本企業に本質的な変化を遂げていただきたい。
そのためには、自社の企業風土を客観的に理解し、どのような行動を増やし、どのような行動を減らすのか、そうした具体的な活動を続けることによって、企業風土そのものを含めた変革が成し遂げられるだろう。