3本の指を立てるビジネスマン写真はイメージです Photo:PIXTA

4月に入社した新入社員がそろそろ配属される時期です。新卒研修が終わったときにはやる気があった社員が、配属された職場で先輩や上司と一緒に働くようになったら、モチベーションが下がってしまう……という事態は、残念ながら珍しくありません。新入社員のモチベーションを下げてしまう、残念な上司・先輩の特徴とは?社内講師・社外講師として30年以上新人を見てきた筆者が解説します。(カスタマーズ・ファースト株式会社代表取締役・代表講師、産業カウンセラー 片桐あい)

あいさつ、返事ができない先輩、上司

 新入社員研修では、第一に、あいさつと返事の大切さを説いています。「明るく元気に相手の目を見てあいさつすることは重要」「あいさつはコミュニケーションの第一歩である」と伝えます。研修中にも、朝夕のあいさつはもちろん、研修会場外ですれ違ったときにも元気にあいさつをするように指導します。

 しかし、実際の職場ではどうでしょう? 「あいさつが重要だと分かってはいるものの、忙しくて余裕がない」「急ぎの仕事があるので、流れで何となくあいさつしている」など、余裕がないときにはあいさつがおざなりになりがちです。

 新人たちにとっても、自分から気持ちの良いあいさつをすることは勇気のいることです。せっかく気持ちの良いあいさつをしたのに返してくれないことが続くと、徐々に自分からあいさつをしようという意識が薄れてきます。たかがあいさつですが、されどあいさつ。職場の士気を上げるためにも、気持ちの良いあいさつを心がけましょう。

 また、あいさつには承認(ここに居ていい)や、ヘルスチェック(今日も心身共に元気かどうか)といった意味合いもあります。新人たちが職場に配属される前に、改めてあいさつの重要性を再確認することをおすすめします。

 さらに、“気持ちの良い返事”も同様に大切です。「はい」「かしこまりました」「承知しました」など、肯定的で丁寧な返事を心がけると良いでしょう。研修で学んできたことと、実際の現場でのやりとりに乖離があることは、新入社員たちが職場配属でがっかりし、やる気をなくす大きな原因になります。

 人は楽な方に流れるので、「やらなくてもいいんだ」と思ったことはやめてしまいます。新入社員と共に、改めて、基本動作を確認していきましょう。