ワインの歴史は古く、人類が文明を持ちはじめた時代に合わせるかのように登場しています。エジプトのファラオはワインを薬としても尊重し、古代ギリシャの哲人たちはワインに酔っぱらいながら知的会話を愉しんできました。さらにイエスがワインを自らの血になぞらえて以降、カトリックとワインは切っても切り離せない関係となっています。そう、ワインには人間の歴史が詰まっているといっても過言ではないのです。たとえば、フランス革命とも密接なつながりがあるのをご存じでしょうか?今回は、フランス革命とワインの“歴史には書かれていないつながり”について『世界史を動かしたワイン』(青春出版社)から抜粋して紹介します。
18世紀、宮廷の収入になっていたワインの入市税
ヨーロッパでは中世後半以降、ワインが広く普及しはじめ、18世紀には多くの住人もワインを口にするようになっていた。彼らが飲むワインは安物であったが、それでも酔っぱらうことで日々の憂さを晴らせた。1780年から1785年ごろのパリでは、一人あたり年間で122リットルのワインと、9リットルのビールを飲んでいたとされる。現在、フランスの一人あたりの年間のワイン消費量は40リットル台だから、18世紀のフランスでは、ワインは水代わりでもあったようだ。
たとえば、パリでワインを提供していたのは、「キャバレ」や「カフェ」などだ。キャバレは、日本では風俗産業の店になっているが、もとはピカルディ地方の言葉で「小部屋」を意味する。パリのキャバレでは、門の上に小枝が吊るされ、カウンターでワインの立ち飲みができた。あるいは、持ち帰りもできた。