そんな首都を持つ日本では近年、従来とは一線を画する富裕層が増えてきているといいます。そんな人を「シン富裕層」と呼び、著書『日本のシン富裕層』にまとめたのが、富裕層の海外移住のサポートなどを手掛けるアエルワールドの大森健史代表取締役です。

 そこでここでは、『日本のシン富裕層』と大森氏をはじめとした取材を基に、シン富裕層の“生態”をご紹介したいと思います。なお、『日本のシン富裕層』とはネーミングや分類を少し変更してお届けします。

企業オーナー型

 企業オーナーは昔から定番の富裕層ですが、シン富裕層は志向や価値観が従来とは大きく異なります。

 大森氏によれば、「会社を大きくしたい、もっと稼ぎたいとは思わず、今の収入を維持しながら働く時間を短くしたいという志向が強い」といいます。数千万円くらいの年収を維持しながら、仕事に使う時間を従来の2割くらいまで落としていく。それによって家族との時間を大切にしたり、より自分のモチベーションが湧くビジネスや挑戦に時間を使ったりするそうです。

 また、若い起業家に自分のノウハウを引き継いでビジネスを軌道に乗せてあげる「あしながおじさん」的存在のシン富裕層も散見されるそうです。そして、その起業家たちからアドバイスフィーを受け取っています。

高年収エリート投資型

 医師や一流企業の会社員など、高年収を誇る人々です。やはり定番の富裕層ですが、従来と異なるのは、近年の世界的な金融緩和バブルの波に乗り、高年収を元手に運用で資産を激増させた点です。

 シン富裕層の中には、自宅の購入を「投資」と捉え、売買を繰り返すことで資産を急拡大させた人も目立つといいます。