20年以上多くの読者に選ばれ続けてきた大学案内『大学図鑑!』が今年もパワーアップして発売された。現役生・OB・OGら5000人超のナマの声によってつくられた本書は他の大学選びのひとつの手段として選ばれている。本記事では最新版である『大学図鑑!2024』の出版を記念して、内容の一部を抜粋・再編集してお届けする。(本記事は2022年12月時点に執筆した『大学図鑑!2024』をもとにしています)
慶應大生の就活事情
私大の中ではナンバー1の就職力だと言えよう。ほぼすべての企業のエントリーで足切りされることはないし、面接もトントン拍子に進む場合が多い。なにせ一流上場企業の社長の出身大学でトップクラスに多いのはダントツで慶應大である。慶應ブランドが就職に有利なのは間違いないだろう。
就活を終えた学生たちの声は「一部の人はいろいろな大企業からリクルーターが来るので、待っているだけで内定をもらえる」「OB・OGから内定につながる会合を紹介してもらえた。ただし、学内外の人脈を広げておくのが大事」など。厳しいと言えるのは、一部の外資系の金融会社やマスコミなど、就職人気ランキングの上位にいつも来るようなブランド企業だけ。
ここまで就職に有利な傾向は卒業生たちが形成する「三田会」という組織の力ゆえでもある。卒業年度別、地域別、業界別、学部やゼミ別、サークル別など、800以上の団体を有する三田会は、企業社会と慶應大学をつなぐ強力なパイプ。ネット上には塾生だけがアクセスできるOBリストや、塾員(卒業生)が集う大学公式SNSがあり、就活時のOB訪問にも重宝されている。
つまり、すでにブランド企業に勤めている卒業生たちが、三田会パワーで慶大生たちの就職をバックアップしているのだ。これはもちろん、就職後の仕事上でのコネクションとしても威力を発揮している。
さらに「三田会に頼らなくても、サークルやゼミに強固なネットワークがある」との声も。慶應生は例年就職活動の動き出しが早いと言われるのも、ネットワークを駆使した情報戦の強さから来ているのだろう。例年銀行や保険などの金融系やコンサルへの就職が多いが、慶應義塾への就職も人気なのは愛校心の表れでもあり、経営が安定しているゆえんだろう。
SFCの総合政策学部と環境情報学部は、一部では「ヘンに自立心が強くて、使いづらい」など、やや色眼鏡で見られることも。しかし、ベンチャーや社会起業の分野を中心に大きな存在感を示しているのもまた事実で就職に弱いということは決してない。