話はガンダムに戻る。ジオン軍のザクには初期型のザクⅠ(いわゆる旧ザク)を改良した量産型のザクⅡが、物語の全般にわたって大量に投入される。また、陸専用にザクⅡベースで開発されたグフも登場する。このあたりまでは、ジオン軍は地球連邦軍に対して優勢にことを運んでいた。
しかし、その後どうなったというと、ドム、ゴッグ、ズゴック、ゾック、ゲルググ、ギャンなど、毎週の放送で1機は新型のモビルスーツが登場するという、連邦軍と同じような製品差異化戦略を採り始める。このあたりからジオン軍は劣勢に陥る。
多品種のモビルスーツ、モビルアーマーを開発するものの、数が足りない。本来ならガルマ・ザビの弔い合戦を命じられたランバ・ラルのところにはグフに続けて新型モビルスーツのドムが送られてくるはずだったが、マ・クベに邪魔をされて、マ・クベ配下にドムが与えられてしまう。このあたりからジオン軍は、機体は強いものの数が足りないという状況が始まる。
地球連邦軍の反転攻勢で
忘れてはいけない「ジム」の貢献度
一方で、地球連邦軍の本部ジャブローでは、ガンダムのローコスト量産バージョンであるジムの大量生産に入る。このジムが設定上初めてガンダムのストーリーに登場するのは、ジオンが初めて大きく敗退したオデッサ・デイであり、その後のジャブロー襲撃戦も、モビルスーツの種類は多いものの物量が足りずに、連邦軍の基地を落とすことはできなかった。
そこから連邦軍の反撃が始まる。ソロモンの攻略、終戦を迎えるア・バオア・クーの戦いでは、ジムとボールという自分が連邦の兵士なら絶対に乗りたくないような簡易的なモビルスーツを大量投入した連邦軍が、ついにジオンを打ち負かしてしまう。
このときもガンダムは活躍はしているものの、局地戦での戦いであり、宇宙侵攻にあたっては連邦軍上層部から「おとり部隊」扱いまでされている。つまり、アニメの作り手としてはガンダム中心に物語は進んでいるのだが、連邦軍の勝利はジムとボールという量産型モビルスーツの活躍によるところが大きい。