不自然に有利な利回りとは、例えば「毎月2%が確実に配当される」「年間の期待投資利回りが20%」といった、「法外に有利」な利回りのことだ。

 毎月2%が法外なのだから、これが、3%、4%となると、ますます怪しいと思っていい。

 現在、プロの運用者がマーケットから得ることができる利回りは、「リスクなし」を前提とすると「年率で」0%から(せいぜい)0.5%だ。「確実に配当される」という話の前提の「確実」が本当なら、これ以上の利回りを他人に提供すること自体が合理的な行動ではない。関わらないことだ。

 ちなみに、かつて筆者の身内が、「3カ月後に10%の利息を付けて返す」という借金に、友人の紹介で応じたことがある(幸い、家計が傾くほどの多額ではなかった)。当然、後日トラブルになった。この場合に筆者が感じたのは「3カ月で10%」という利回りを「おかしい」「引っ掛かると恥ずかしい」と思わない感覚の者が、何と身内にいたのか、という身もだえしそうな恥ずかしさだった。

「元本保証で年間5~10%の利回り」が
まともであるわけがない理由

 期待される収益率は、リスクを取ることによって増やすことができるが、例えばプロが内外の株式に投資する場合、期待される利回りは年率でせいぜい金利+5〜6%くらいだ。しかも、年間に3割程度は値下がりすることが十分あり得る、というリスク付きが前提だ。

 例えば、「元本保証で、年間5〜10%の利回りが期待できます」などいう話が「まとも」であるわけがない。

 さて、実際にお金をどうやって支払わせるかは、詐欺であるにせよないにせよ、投資案件の売り手側にとって、大いに工夫が必要なポイントだ。

 出資する側から見ると、「投資の運営会社の銀行口座」「アプリにひも付いた海外口座」、案件の紹介者から見て「あの人の銀行口座」、あるいは「俺の口座」、などなどがあり得る。ただ、いずれもお金を預ける側から見ると、会ったばかりの人に多額の現金を預けるくらい心もとない。

 例えば、国内の信託銀行に口座を開いて資産を預かり、出資者ごとに資産が管理されている、というくらいのレベルであれば、一応信用してもいいだろう。それ以外の「指定の口座」は、そもそも存在が怪しい場合もあるし、一度支払ったお金の取り戻しようがない。

「断る理由」というのは、現実の人間関係では案外難しい場合があるが、「親しい人との間でお金のやりとりをしてはいけない。投資話には乗ってもいけないし、人を誘ってもいけない。お金で人間関係が壊れるからだ」と親からきつく申し渡されていて、これは家訓の一つなのです、とでも言って逃げ切りを図るべきだ。苦しい言い訳だろうと、恥をかこうと、お金を支払ってしまうよりはマシだ。つまらないお金の話に関わるのは、人生の損失だ。