日本銀行がETF(上場投資信託)購入策で積み増してきた保有総額時価が、2023年3月末時点で53.1兆円に上ることがニッセイ基礎研究所の試算で判明した。日銀がETF購入を通じて株式を間接保有し、「大株主」となっている企業はどこなのか。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

植田新総裁が「大問題」と言及
日銀のETF保有総額53兆円に

「大量に買ったものを今後どうしていくかは大問題だ」――。

 日本銀行の植田和男新総裁は2月下旬、就任前の国会での所信聴取で、珍しく力強い言葉を放っていた。無難な答弁が目立つ中、“大問題”とまで言及して懸念を示したのは、日銀のETF(上場投資信託)購入策の扱いについてだった。

 ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストの試算によれば、日銀が積み増してきたETFの保有総額は2023年3月末時点で、53.1兆円(時価)まで膨れ上がったという。

 そもそも“最後の貸し手”たる中央銀行が「株価買い支え」に打って出ること自体、世界でも前代未聞である。ETF購入策の開始から干支(えと)が一巡し、大量に買い増したことで、日銀は今や国内上場株式の時価総額の約7%を握る、日本企業の最大の株主なのだ。

 日銀が「大株主」として君臨する企業はどこなのか。