努力は単純なこと
では、この「ちょっとの心がけ」をどのように習慣づけたらよいのでしょうか。
まず、私自身が人の顔と名前を憶えることが苦手なので、ノートに毎日、会った人の名前やできごとを書くようにしました。いまのチャネル営業本部という部署でも、海外のグローバル会社の拠点にいくことが年に数回はありますし、海外から外国人社員が来日することもあります。週に1回はテレビ会議で海外とやりとりするケースもあります。すると、たとえば、「彼はマイクさんか、マークさんか、マイケルさんか、ミッシェルさんか、誰だったっけ?」というケースもあるのです。そのときに、ノートに控えた備忘録があれば、それを手がかりに話を進めることができます。
また、これはトップ層に限りませんが、外国人は、ふだんの会話のときも、頻繁に相手を名前で呼ぶようにしています。これは意図してやっているというより、民族的習慣なのかもしれません。
私自身、海外トップ層に何かを聞かれるときは、「カネダさん、どう思う?」とか「これでいいのかなぁ、カネダさん」といわれる経験がよくあります。つまり、彼らは「誰とコミュニケーションをとっているのか」を明示するクセがあるのです。そのような民族的習慣ともいえるものを見習ってもいいのかもしれません。
なお、のちに聞いた話ですが、Eさんの場合は、たとえば、部単位、課・チーム単位など組織の会議に出席するときは、必ずといってよいほど、その組織図を取り寄せて、どういうメンバーがいるかを概観してから会議に臨むようにしているそうです。
一度、彼のアメリカのオフィスを訪れたことがあります。すると、オフィスの棚や壁には、同僚・部下・知人とのツーショット写真や会合での全体写真、ホームパーティの写真などがたくさん飾られていました。そのなかの1枚に、私との写真も! そのときの感激は言葉では言い表せないくらいでした。「憶えていてくれたんだ。これからも彼とがんばろう!」という気にさせてくれたものです。
(次回は3月8日更新予定です。)