クイックな組織の立ち上げが優先されるなかで…
永田 組織づくりが、各事業部のマネージャーのセンスに任されていることに課題感を持っていらっしゃるようですね。そもそも、専門性重視の採用をされていると、組織づくりが得意ではない方がマネージャーになる可能性もあるでしょう。そうした場合は、HRBPが事業部の中に深く入って補佐するのでしょうか?
小向 はい、そのケースはよくあります。しかも、一般的な会社の組織変更は年度や期に合わせて行いますが、弊社は月に2回、つまり、年24回も組織変更ができるタイミングがあります。だから、常に、組織をクイックに立ち上げることが求められます。組織開発に時間をじっくりかけても、組織内の人間関係ができた頃には異動になる社員もいます。
永田 それは、御社ならでは、ですね。組織開発については決まった打ち手があるわけではなく、「HRBPとしての知識を蓄えておき、必要なときに武器として使う」とのことですが、具体的にはどのような提案をされているのでしょうか?
小向 私たちは「中長期的施策の必要性」を感じているのですが、事業部長の方々からは「自分自身のことですら半年先のことなんて分からない。3カ月くらいで回せるクイックな施策を考えてほしい」というオーダーが多いです。「チームビルディングをしたいので、1時間でチーム力が上がるような施策の提案をお願いします」と言われて、戸惑ったこともあります(笑)。「事業の成長に合わせて、人材をじっくり成長させていきましょう!」と言ったところで事業部長の胸には響きにくいので、まずはクイックな施策をガンガン打っていきます。そこで様子を見ながら、「もう少し中長期な目線を持っておかないと、良い組織はつくれません」という話をしていくかたちです。